はじめに

7月12日に、「ベーシックインカム・実現を探る会」が主催するベーシックインカムの勉強会に行ってきました。
内容は、古山 明男(ふるやま あきお)さんの講演会です。
タイトルは「ベーシックインカムのある社会 – 労働と教育の基本的転換」。前半と後半に分けてレポートします。

なお、ベーシックインカム・実現を探る会主催の前回の勉強会もレポートしています。ご覧下さい。

写真「会場の様子」は削除しました(2009.8.3)
会場の様子を感じてもらうため、会場最後部からの全体写真を撮影し掲載しておりましたが、読者の方からの肖像権(正確にはプライバシーの権利)の侵害の指摘がありましたので削除しました。お一人横顔が、もう一人がお顔が写り込んでいました。解像度の低い画像のため、個人を識別できるものではないと判断した点、かつ、市民レポータとして本講演会の集客力や雰囲気の情報伝達の重要性を東京高裁平成5年11月24日判決と照らし合わせての掲載判断でした。しかしながら、読者の方(当該講演会の関係者)のご指摘があり、本ブログのポリシーでは、記事内容の関係者の希望・要求に可能な限りお答えすることにしておりますので、写真を削除しました。関係者の方には、ご迷惑をおかけしました。

講演録(前半: ベーシックインカムとは?)

古山 明男さんの自己紹介

千葉市で私塾やっていた
ポリシー、全体にせいとを選ばない
いろいろな人集まる。障害児、不登校、外国人
今の学校に不満があるからくる
学校制度に問題があると考え調べ始めた
海外には教育費0の国たくさんある

公共経済の問題
お荷物としか考えられていない
でも、これが国を創っていく

若い人は酷使されている
これ世の中おかしい
弱いモノほど、頑張っていても非難されちゃう
結果出ていないと、お前がんばっていない、っていわれちゃう
おかしいと思った

経済の研究を趣味でやっている
ベーシックインカムを知って、これで全て上手く行くと思った

去年のリーマンショックみて、「キター!」と思った

前回の関さんと同じ考え。不況ではなく恐慌が起きている。
連鎖倒産を国が引き受けている
次は、国の財政が続くか、が問題
国債が売れて借金が出来るかどうか
私が見るにそうは長く持たない
そこにBIしかない

働くこと、教育、これがどうBIで変わるか。第一部
第二部ではその実現可能性

第一部 ベーシックインカムとは

すべての人に
無条件で
個人毎に
継続的に

最低生活費として渡させるもの

FAQ
働かなくなる?
働いている人と同じで良いの?
社会主義国になる?
なぜお金持ちにも配る?
働くべからずモノ食うベアラズ?

働かなくなる?
月8万円で、働かなくなるか?餓死しないだけ。
健康的で文化的な生活はできないだろう
この程度の水準では仕事は辞めない人が大半だろう

Q1:それでも働かなくなる人
働くことが苦痛。人間関係、鬱病、障害 ← 数十万人くらいいる
チャレンジしてみたいことがある人。芸術、起業、職人、ボランティア。← 数十万人くらいいる
共働きを余儀なくされていた人。奥さんも働かないとやっていけない家庭。←これがBIで少なくなるのでは?800万人くらいいる。そのうち200万人くらいは該当

よって、300万人くらい離職する。せいぜい5%。これで世の中にネガティブインパクトは起きない。

Q2:働いている人と同じで良いの?
同じになりません。
生活保護とは違い、給料をもらってもBIももらえるから、差は同じ。

Q3:社会主義国になる?
社会主義国は、生存の保障ではなく、労働の保障・平等化
市場ニーズを反映しない生産管理

BIの場合は、効率や採算を重視する現行の仕組みは維持される。
仕事も選べる。

Q4:なぜお金持ちにも配る?
全ての人のいきる権利。お金持ちだから差別しない。
もう一つの理由。BIの目的。生産と消費のバランス調整。
福祉は存在する。

Q5:「働かざる者食うべからず」か?

(ギリシャのアテネの図)

理想社会。働かないで文化的なことをするのがよいとされた。奴隷も使ってまで。
そこに罪の意識はない。すべての人間が、平等という概念はない。

(ギリシャの奴隷市場の想像図)

奴隷の横で、笑いながら飯を食っている市民

(ギリシャの奴隷市場の想像図)

現代の我々もたくさんの奴隷を使っている。ロボット。
洗濯ロボット、洗濯機
komatsuのブルドーザー
刈り取り機械

こういうのが出る度に、人間は思う
これで人間は労働から解放される
これで人間が労働から解放されるなら、どうやって人間は収入を得るための仕事を得る?
利子生活者になれるのはごく一部
他の人はどうなる?

我々は慢性的な失業問題を抱えている

機会の購入

新たな産業が出ている間はなんとかうまくいった

(総人口と産業別失業者人口のグラフ)

いくら働かなくなっても、これだけは必要なのが食料生産
食料生産の絶対数が少なくなっている
自給率の低下を考えても、この倍はいてもおかしくない
だが、生産性の向上でこれくらいしか働けない
食料生産の失業問題を、第二産業、第三次産業で吸収した
でも、ほとんど第三次産業
第三次産業、ぴんきり。
本当はなくても良い仕事までつくって、失業問題を

老齢化により第三次産業人口も減り始めている

全人口中の就業者数
4割くらいしか実は働いていない
6割の大半は子どもや老人ではあるが
すでに「働かざるべき者が食っている」のは事実

就業者比率。どのくらいがいいか。
科学技術によってどこまでできるかがきまる
次に、社会のシステム、哲学による。

30年前は働く人の半分が自営業者だったのだが、今は5%程度に
その分非正規雇用が増加

高度成長の終わり。慢性的な生産過剰
人々が働かないから、消費がすくないわけではない
100円ショップみて。どうみても原価割れ
倒産した会社のものの投げ売り
労働して一生懸命創ったもの。それが100円ショップにならぶ。結果的に、無駄な仕事と評価されている、ということ。おかしい。

労働は賃金報酬としてしか評価されていない
しかし、先の見えない時代。賃金は上げられない。人は増やせない。
みんながそれをやると、社会全体で、低賃金化、失業率向上

「働かざる者食うべからず」は、生産が足りない時代の台詞
今は消費を増やさないと行けない
働かない人間も食わないとみんな食えない

「労働=所得」は人間の商品化

(大学生の就職活動のセミナーの様子)
みてください。これみんなリクルートスーツ。
これが意味するもの「私は変な人間ではない。規格品の人間です。雇って下さい」

労働力は商品化できるのか?
働いている人は、本当に価値をつくりだしているのだろうか?
そうでない仕事も多い

商品として創られた者だけが商品
人間が商品になってはならない

現代の奴隷度グレーゾーン

どれだけ命令指揮されているか
自分の知識や技能がどれだけいかせているか
ことわることができるか
しごとのきつさ、報酬、時間

労働からしか所得を得られなければ、奴隷化する

BIができたら、最低限食える
それはあんまりだ、から逃れることが出来る

悪労働条件を改善するインセンティブが生まれる

よい仕事とは?

十分な報酬
仕事を通して社会と関係を持てる
善い仲間がいる
達成感がある
熟達できる
その人に応じた判断、技能が必要
頭脳と肉体のバランスがよい

生きる権利の保障をするには、国は雇用を保障しようとする
雇用と労賃を確保するのは実は大変
税金のムダがおおい。経済への干渉にもなる
生活保護も、尊厳を奪われるような扱いがある

それなら直接個人を支援した方が効率的。BI

おそらく自殺が激減する
自殺の増加のほとんどは経済問題
半減するのではないか

高度成長が終わった国では
雇用と労賃を通して
ベーシックインカムで
生活の保障を

北欧型福祉国家は生産性が高い

失業を怖くなくしたことが理由
手堅いセーフティーネット
再就職トレーニングも意義深い。その時代に合わせた生産性が向上
雇用側も解雇しやすい。労働者側もやめやすい
産業の変化、生産調整への対応がすばやくできる
BIではないが、手厚いセーフティーネットで国を強くする例はたくさんある

BIはこれを強く進めたもの

労働者:やめやすい
雇用者:やめさせやすい

生活保護と違い、何をしても善い。
スキルアップして善い。ボランティアしても善い

倒産しても雇用を心配しなくて良いから、産業転換が早い
我々は不採算企業ダイエーをつぶせなかった

生産性の高い国では
ベーシックインカムによって
産業構造の転換
労働力の適正配置
生産性向上

従来の景気対策
政府は低金利融資、公共事業など、生産側のサポート
しかし、これが個人の給与にはいるか?いや、海外にながれていく

では、消費側に入れればどうか?それがBI
貧乏人にお金をあげたほうが、消費に回る
公共事業をしても、土地の確保費。投資家に回る。

生活に困っている人に渡した方がよい。1回こっきりだったら貯蓄されるが、継続的にやるならば、生活のためにお金を使ってくれる

高度成長が終わると
企業から見て有効な投資先がなくなってしまった

だから、北欧は税で回収し、公共経済に回した。これがちから
公共経済と商品経済はどちらも大切
商品経済は自由。今の市場経済のように、個人が好きなものをかえる。
ただし、すべて商品経済では難しい。消防とか

BIによって公共経済を増大化
しかし、そこには増税がある
しかし、今のままでだめ。地方自治を実現させないと

ベーシックインカム実現後の社会

BI後の社会

求職者数5%ほど減
大幅な消費増。売り上げ増、雇用増 → 労賃は上昇傾向に

サラリーマン
失業の恐怖から解放される。つらいツライ仕事やはいぇられる

企業経営者
無理な雇用をしなくて善い
経営効率は追究できる

主婦 ← 一番大きなインパクト
余儀ないパート労働はしなくて済む
家事・子育てに専念したければ出来る
介護に専念したければできる
社会活動に専念したければできる
少子化の切り札

食いっぱぐれないことが保障されれば
農業:増える
起業家:増える
芸術家:増える
社会活動家:増える

社会活動家。たくさんいる。
収入少なくて良いから、その分時間を作って、それだけ活動をしたい

地方都市:同じ金がでるなら、家賃・物価の安い地方都市にいく・戻る人が増える
過疎の村:農業・漁業の志し人が増える
子ども:子が宝になる
失業者:だいぶ、いなくなる。一部は別の理由で残ると思う。
鬱病の人:無理して働かなくてすむから経る

教育の変化

「この子はちゃんと食べていけるのだろうか?」
この不安から、親や教師が、子どもに善くない無理強いをしてしまう
これが
「この子はちゃんと食べていけるのだろうか?」から解放されたら、教育はどう変わる?

職業訓練
無味乾燥に耐える
個人毎の評定店のために働く
何を手に入れても満足しない人間 ← 未来に不安を感じ、働き続けてもらうため
学校の仕事を家庭に持ち越す ← 残業の始まり
教師生徒、先輩後輩の序列を作る ← 服従のトレーニング

これは教育が悪いのではない
労働哲学
労働哲学が教育に要請をしているだけ

BI後の教育
労働訓練から個性を伸ばす教育に
教室が工場的から家庭的になる
目的遂行 → 感受性と創造性
総合的人間発達の評価

教育を変えるのではなく、労働制度側を変える方が、はるかに早く世の中が変わる

障害教育体型の構築
社会に出てからも大学や専門学校に行ける
スウェーデン「いつでも、どこでも、ただで」(公立も私立も高等教育まで教育費無償)
入学を資格制度にする。


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3 Responses to 古山 明男さん講演会「ベーシックインカムのある社会 – 労働と教育の基本的転換」(1/2)

  1. […] 古川 明男さん講演会「ベーシックインカムのある社会 – 労働と教育の基本的転換」(1/2) 7 月 14 […]

  2. 絵本のモモ より:

    素晴しい!!!!早速の議事録、ありがとうございます!!!
    読めて知ることができて嬉しいです。毎度おおきに。

  3. […] 古山 明男さん講演会「ベーシックインカムのある社会 – 労働と教育の基本的転換」(1/2) […]