明日6月30日まで紀伊国屋書店新宿南店で、社会起業ブックフェアが行われています。
その一巻で、29日に慶応SFCの井上英之さんとTABLE FOR TWOの小暮真久さん対談「社会起業っぽい!トークをしよう」が行われ、参加してきました。
さすが、井上さんのファシリテータということで、階段状のホールなのにアイスブレーキングが行われました。笑
一番の感想としては、気がつかないと、本来であれば気づくことのできる違和感が、どんどん「どうしょうもないこと」「あたりまえのこと」になって、社会のイノベーションが疎外されるのだな、ということです。
それでは、生ログを。
◆TABLE FOR TWOの話
メタボ検診のころから急増。現在は130企業。
今は、企業だけじゃなく、官公庁や大学でもやっている
コンビニ、カフェ、レストランでも
3500人の一年分の食事を提供できている
学校給食=教育機会に繋がっている
◆井上Question: なぜ当初は広まらなかったか?
小暮さん>
多くの企業さんにとってNPOと付き合ったことがなかった
良いことだけど、仕事が増えそう
↓
だんだんと、健康マネジメントのニーズから、パートナーが増えてきた
他の企業がやり出したらやり出す、という効果
◆好奇心はどこから来るのか?
井上さん>
僕は好奇心があるときと、ないときがある。
コンサルタントの途中から、感じなくなった。
奥尻島のボランティア。当時は、ボランティアはうさんくさい。
でも、楽しそうだから行った。
行ってみると、目の前には自分の仕事が何かに繋がっているものばかりがあった
目が変わる瞬間
小暮さん>
何のためにやっているかが分からないと燃えない
理解できるルールはまだしも、どうてもいい行進とか規則は嫌い
井上さん>
集団下校も嫌いだった
高校生のときに試してみた。一列で下校してみた。笑
周囲からすれば変な人たち。でもこれを社会の大人達はやらしている。
こういうおかしさに気がつくことが社会起業の第一歩
小暮さん>
おかしさにきがつくことが重要
コンサル。チームメイトが病んでいることすら気がつかないことがある。
人間としておかしい
これと同じ。
こんだけ食べ物が余っていて、一方で、これだけ捨てられていることをみると、本当はおかしいと思うはず。
◆ビデオ映像紹介「若者の働く価値観とは?就職先に’change’」
Teach for Americaがアメリカの就職ランキング2位に
Room to readのケース
◆井上Question2: 小暮さんの人生の選択。マッキンゼーから松竹にいったとき。松竹からTFTにいったとき
小暮さん>
マッキンゼー7年。最後の1年はNY
クライアントの社長から「あなたは実業をやったことはないでしょう?」の言葉
何かやってみたい。何でも良かった。エンターテイメント楽しい。松竹へ。
松竹では、やりたいことができない部分もあり、想い悩む。
その中で、社会セクターのことを考える。そうして、TFTと出会った。
井上さん>
プレイヤーって何でしょう?
小暮さん>
なんらかの数字など、責任を持って、実際の事業を行えること。
コンサルは実行しない
井上さん>
当事者意識が大切
ビジネスだってそう。お客さんがどんなニーズを持っているか、当事者になって思う。
シアトルのカフェがすごいのは、お客さんがすごいから。
お客さんは、店が混んでいると、急がせるのではなく「今日は大変ね」と店員を励ます。
店員の前に、自分は一人の人間だ。人間としてお客さんと共に一緒にステキな空間を作ろうと思う。
小暮さんは感動させるのが好きなのでは?
小暮さん>
そのとおり。感動させるのが好き。
セントラルパークのオペラのチャリティー
◆TABLE FOR TWOについて
井上さん>
TFTは、参加の仕組みがある。多くの人が参加できる。スケールアウト性があるという。
これができる日本初の社会的な活動は少ない。
リーダーが倒れたりすると終わってしまう可能性が大きい。
◆井上Question: 小暮さんがTFTの事業と関係なく(いったんおいておいて)、本当にしたことは?
小暮さん>
アフリカに一週間でも行けるとそのときは幸せ
それ以外では、
事業を創っていく際に、いろいろな企業とコラボができる。しかも、心から自分の信じていることのために。
◆池畑さんQuestion: 初めて、TFTの仕組みに出会ったときに何を感じましたか?
小暮さん>
ドラマティックに話したいが、じつはそれほどなく。笑
出会うまでの一年半がきつかった。出会えて「安心した」という感じ。
後で思うと、素晴らしい仕組みに感動
日本発
メンバーも本気
◆井上Question: 小暮さんって仕組みとかじゃなくて、実は直感派なのでは?
小暮さん>
そのとおり!笑
井上さん>
社会起業というと、今までのNPOとの違いなどがよく言われる。仕組みの部分
確かにそこも大切。ビジネスやコミュニティの両輪なども
一方で、さらに、直感だったり、アートだったり、デザインであったりといった軸が必要
共感してくれた人にお金を払ってもらう(CommunityのBusiness化)
ここまでで社会起業が語られることは多い。これによってサステイナビリティの確保。仕組みか。
これに加え、デザインやアートの要素が加わる。楽しそう。
こういうものがTFTには入っているのでは?
小暮さん>
そのとおり
ロゴはNYのデザイナーがデザインしている
事務所も紙とか置きたくない。事務所っぽくしたくない
オフィスにはいるとオフィスの発想しかできない
世の中を変えていこうという場に、オフィスじゃないなと思う
「こんなのもあり?」っていうオフィス。来てくれる人がもう一度来てくれるオフィスにしたい。
◆質疑
イワタさん>
BCGコンサルを辞め、岐阜で家業(ケーキ)を継いでいる
Cake for twoやりたい。笑
TFTのように、新しい組織は、最初から共感してくれて集まる人多い
一方、古い組織。家業など。共感より生活だ、という人が多い組織
元々いた人を変えてくなど、どうすればいいか?
小暮さん>
イヤな人と働いていると自分はパフォーマンス上がらない
お互いが想いを共有できる人としか仕事したくないとおもった
僕も答えをもっていない
井上さん>
世の中を変えていくための臨界点があると思う
いきなり最初から全ての人につたえるのはむり
ある程度の人に知られると、いきなりかわってゆく
私これが好き。が伝搬するとムーブメントになる
私が思っていることは、かならず誰かも思っている
本当に健全な状態。各問題に複数の社会起業がある
オオヒガシさん>
ETICさんに東京ベンチャー留学という経営者とお話を聞く機会を頂いた
質問は「お二方の心から信じていること」
小暮さん>
ご飯を満足に食べられない人がいるということ。このことがおかしいと思う。
これが実現するためにだったら、なんでもできる。
これが現在の信じているモノ。
井上さん>
自分の実感
社会や身の回りに対する違和感
男の子が黒いランドレスとか
小学校一年生のとき。遊び場の自然がゴルフの打ちっ放しになった
大人はカッコイイと思っていたが、満員電車の大人を見て愕然とした
どんなところで働いていても、その場その場で感じた違和感を信じてみる、口に出してみる
これをサルっていっている。「社会人」としての顔じゃなくて、本当に思っていること。
それを共有したときに、何かが始まる、と思っている。
ヤマダさん>
元々、社会起業って大きい問題意識・問題設定が前提にあると思ったが、今日さらに問題設定は意外と小さなモノという印象を持った
ゴール設定がもやっとしている
小暮さんの活動が続いていく中で、どんな社会のイメージになるのか、お聞かせ下さい。
井上さん>
そもそもビジョンありきの人と、現場からビジョンを創る人、どっちもいる。
ビジョンってことば沢山使われているけど、忘れてはいけないのが、ビジョンは個人にしかない
もしかしたら、それはエゴかも知れない
でも、そのエゴを通すために、他のエゴとの接点を探さなければならない
そうやって、より大きなビジョンになっていく
ビジョンは自分の中と、他人・社会との接点の間で広がっている
小暮さん>
過去の社会活動の失敗が日本では反省にあるのでは。
今まで、ビジョンばかりで行動の受け皿がないことがおおかった。特に政府が
子ども達が「行進やだ」。これが広がっている。こういうのから社会は変わるのではと思う。
動く人たちから、だんだん形をつくっていく。そういうのがあっても良いと思う。
アゼタさん>
学習塾の非常勤講師
差別・格差の問題に関心
なかなか仲間が得られない
SNSもイマイチ
行動の第一歩の仲間をどうやって捜せばいいのか。何かヒントを
小暮さん>
飲むのが好き
とかく真面目になりすぎだが、のみながら話すのは重要
既に日中真面目に働いている社会人をどうやって活動に誘うか
ビールの出るパーティ
井上さん>
SVPの始まり。寄付文化もない時代にどうやってはじめたか。
僕個人でも心から楽しむ
仲間には仕事を「やっていただく」のではなくて、いっしょに「楽しむ」
「楽しくてしょうがないから、君にもわけてあげるよ」的な。笑
アラインメントともいう
一つ一つの雑用まで、いかのビジョンに繋がっているか、を示してあげること。これも重要
「いまやっていることすごく意味がある」「すごくたのしいじゃん」
まずやってみて、フィードバックを受けて、それをくりかえす。そのしつこさ
才能よりしつこさ
その分、愛のあるコトじゃないとダメ
アサオカさん>
学校給食で取り入れてみればどうかと思った
小暮さん>
小学校やりたい
準備は始めている
問題が沢山分かり始めた
親が持ってなければ寄付はもらえない。子どもに意志があっても
ダイエットを間違って子どもに教えてしまうリスク
公立校にお金を持っていては行けない、などなど
でも、やろうと思っている。渋谷区でトライアル中。
栄養士さんからの叫びの手紙
ものすごい残飯。注意すると保護者からの苦情
最初の人>
祖母。70歳越えた。どこか寄付したい
どこに寄付していいかわからない
今までは赤十字とかに寄付していた
インターネットやっていない人でも、できる、マッチング
ないなら創りたい
井上さん>
重要な問題。いろいろな人から聞いている
起業家の話。息子にあげるより、寄付をしたい。数億円
でも、行き場所がないから、自治体に寄付をしてしまう
正直、効率の良い寄付先ではない
世界的に見て、寄付の額は増えている
社会貢献だけでなく、投資としてみている
Room to readは、そこを行っている
投資対効果
自分の1円で何が変わるのか?それが分かること
すごい可能性がある
日本の寄付が少ないのが、宗教のせいでも、文化のせいでもない、工夫が足りないだけ
イケダさん>
広告代理店をやっている。
Room to readのボランティアもやっている。
広告代理店でも、継続と共感が大切と思う。
質問「同じ目的を持っているNGOはたくさんあるが、それらとの協力は可能なのか?」
NPO同士が繋がる上手い仕組みは無いのか?
小暮さん>
アフリカではNGO/NPOとアライアンスを組んでやっている
自分で配るわけにも行かないから
まだ果てしなく社会課題がある一方で、まだまだプレイヤーは足りない
日本から世界にでた例をつくりたい、という気持ちもある
◆小暮さんから最後のメッセージ
参加したい場合どうすればいいのか、という質問に対して
今、その窓口を創っています
来年の今の時期には、今以上にみなさんに参加してもらえるようになると思う
みなさん、今日のことやTFTというようなものがあること、ぜひ広めてもらうことから参加して欲しい
ありがとうございました
◆井上さんまとめ
(スライド「ソーシャルイノベーションにもステージがある」)
発信がまず最初にある
次にやってみせる
そして、次に、どうやったら、この行動を広めてゆけるか
これが上手く行ったときに、世の中の変化を感じられることになる
最後のメッセージ
今いるみなさん。ぜひ、ご自身の近くから始めていって下さい。
Change the worldという言葉が、どんどん胡散臭くなくなってきている。笑
小暮さんすごい、で終わるのではなくて、
自分もこんなコトが出来るよ!「IT’S ME!!」というのを大切に
今日感じた変化を、誰かに伝えるのも、その一つ
素晴らしい時間になった
紀伊国屋のみなさん、ありがとうございました